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花博行ってきました

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特に人気だった「モネの庭」

「花博行った?」というのが、この夏浜松人の、いや、静岡人みんなの挨拶代わりとなった。  四月八日から十月十一日までの百八十七日間、「花・緑・水〜新たな暮らしの創造〜」をテーマに開催された浜名湖花博に、私も行ってきた。機会がなかった人も、このルポを読んで行ったつもりになってほしい。  九月中旬の日曜日、もう空く時期だろうと高をくくっていたのが大間違い。かなりの混雑だった。入るには、二千九百円の普通入場券を購入するのが一般的だが、見ると全期間入場券を持っている人の多いこと。このフリーパス、三回以上来場すれば元が取れる計算で、主に地元の人たちが使っていたようだ。台風や猛暑によって伸び悩んだ入場者数が、目標の五百万人を達成できたのは、こういった地元リピーターの力が大きいのだろう。

 園内は約56ヘクタール。可愛らしいバスや、川をはしるクルーザーなど移動手段が充実している。あちこちに咲く花はすべて完璧な手入れがなされていて、たくさんのスタッフの、毎日の働きが感じられた。一見うっそうとしている「モネの庭」も実はこまやかに計算され、名画「睡蓮」を生み出したクロード・モネの芸術性を表している。

 さまざまな屋内展示もあり、普段はじかに見ることのできない貴重な植物を観察することができる。個人的にもっとも興味深かったのは、「花みどり未来館」の「青を目指して作られたバラたち」だ。涼しげな色のバラが並んでいるさまは、とても美しかった。

 
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珍しい「青いバラ」
 よく、遊園地などで「座るところがない」「トイレが少ない」という苦情があるが、花博でそんなトラブルはない。トイレは二十六カ所、休憩所は約九十カ所もある。歩き疲れても、地べたに座り込まなくていい。子供や年配者への配慮だと思うが、これには感心させられた。屋台や売店も多くあり、外国のものや地元のものなど種類も豊富で、目移りしてしまう。ソフトクリームが個性的で、「韓国杏仁ソフト」「ひまわりソフト」「青いバラソフト」と、目にも楽しい。

 全体的には、花と「触れ合う」というより「見学する」という感じが強かったが、学ぶ楽しさは充分に満たされた。

 祭のように地域の人々の心を沸かせた浜名湖花博は、予想以上の成功を収めた。展示館などは取り壊さず、跡地は「浜名湖ガーデンパーク」として利用される予定である。

(中村玲子)

【第3号 2004年12月16日】


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