かえで
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目次

『アイス・キャッスル』
『ゾンビ』
『海を飛ぶ夢』
『イージー・ライダー☆レイジング・ブル』
『フォッグ・オブ・ウォー』
『コールド マウンテン』
photo 鬼塚教授のシネマ紹介

アイス・キャッスル

(1978年・米)

 鬼塚先生イチオシの作品をご紹介するこのコーナー。第2回目のお題は、一番オススメの「冬の恋愛映画」です。寒い日はお家で、爽やかな恋の名作を鑑賞しませんか?

 今、日本でも安藤美姫選手らの活躍でフィギュア・スケートが盛り上がっている。70年代に美人スケーターとして世界的に知られていたのがリン・ホリー・ジョンソン。彼女が映画デビュー作が「アイス・キャッスル」(78)だ。

 オリンピック出場を目指して練習に励む少女レクシー。持ち前の美貌もあってたちまち人気者となっていくが、そんな中でいつか自分を見失い、素朴なアイスホッケー選手の恋人ニックとも気まずくなっていく。そんなある日、レクシーは練習中に大怪我をして失明してしまう。コーチにも見放されたレクシーのもとにニックは戻り、彼女を励ますのだった。ニックと共に特訓を重ねたレクシーは盲目であることを隠して、オリンピック選手選考会に出場するのだが・・・

 スケートの場面が華麗に捉えられていて、氷上のロマンスを美しく彩る。本物のスケート選手だけあって、特にクライマックスの選考会でのパフォーマンスは息をのむ美しさ。名匠マーヴィン・ハムリッシュ作曲の主題歌が、ヒロインの演技に花を添えている。その"花"のために意外な結末となるラストも爽やかな佳品である。  

【第6号 2005年12月19日】

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ゾンビ

(1978年・米)

 鬼塚先生が選ぶ「コレが一番!」という映画紹介を、新たにシリーズでお届けしましょう。初回は、夏にふさわしく「一番怖かった」米国映画。ホラー好きの先生が選んだのは…

「生き返った死人たち、つまりゾンビは僕たち自身の姿なんだよ」と、電話インタビューしたジョージ・A・ロメロ監督は、ボクに言った。ボクが今まで観た中で一番怖かったホラー映画が「ゾンビ」(78)である理由がその時、はっきりと確認できた。

「ゾンビ」は初公開当時、人間やゾンビの首や手足が宙を舞い血潮が飛び散る残酷描写が世界中で話題となった。しかし、この作品の本当の怖さは別のところにある。ゾンビたちから逃れて巨大ショッピング・モールに立てこもった生存者たち、後からやってきたバイカーたちの間で起こる戦い。極限の状況下でも(だからこそ)、人間は物欲にとらわれ、争いを繰り返す。

 そしてゾンビとなっても物欲から開放されず、モールに集まってきてしまう亡者たちの姿。「ゾンビ」は社会風刺としても、人間論としても一級のものであるがゆえに、時代を越えて新たなファンを獲得し続ける恐怖の名作なのである。

 今年、ロメロ監督によるゾンビ・シリーズ最新作「ランド・オブ・ザ・デッド」がアメリカで封切られ、話題となっている。日本公開が待ち遠しい。

【第5号 2005年07月22日】

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海を飛ぶ夢

 本年度のアカデミー賞で最優秀外国語映画賞を受賞したスペインの傑作「海を飛ぶ夢」がやってくる。世界中を旅して回った好奇心いっぱいの若者ラモン。そんな彼に事故による四肢の麻痺というあまりにも過酷な運命が襲いかかる。家族の愛に包まれながらも、二十六年間の過酷な日々に一つの決断を下す。それは自らの死を選び取ることによって、自由と人間の尊厳を取り戻すこと。彼の決断は周囲の人々に、そしてスペインという国家そのものに大きな波紋を投げかけてくるのだった・・・。

 実話を基にしたこの作品の脚本を書き、監督し、音楽も担当したのはスペインの名匠アレハンドロ・アメナーブル。トム・クルーズ主演でリメイクされた「オープン・ユア・アイズ」、ニコール・キッドマン主演のハリウッド・デビュー作「アザーズ」でも知られる。

 寝たきりの生活を送るラモンにとって海≠ニはなんだったか。美しく哀しい映像が胸に染みる。

 介護する者とされる者との関係、尊厳死のぜひなどのテーマを正面から扱っているので、特に地域福祉学科の学生に見てほしい作品だ。

【第4号 2005年04月05日】

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イージー・ライダー☆レイシング・ブル

 あらゆる価値観が音をたてて崩壊しつつあった六十年代末のアメリカ。映画産業も世相に反映し、旧来の感覚で作られた作品は観客からそっぽ向かれるようになっていた。そんな時、まったく新しい感覚を持った若者たちが登場し、リアルな感覚で社会や人生を表現する作品を次々と生み出していく。「イージー・ライダー」、「ボニーとクライド/俺たちに明日はない」、「真夜中のカウボーイ」etc.のいわゆる“アメリカン・ニューシネマ”は、アメリカのそして世界中の映画文化を完全に変えてしまうことになった。

 この「イージー・ライダー☆レイシング・ブル」は、六十年代末から七十年代初期にかけて、ハリウッドを改変していった若者たちを書いたドキュメンタリー。「ゴットファーザー」のコッポラ、「ジョーズ」のスピルバーグらの証言によって、激動の時代が映画を通して生々しく蘇る。映画ファンにも、もっとアメリカを知りたい学生にもオススメ。

【第3号 2004年12月16日】

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フォッグ・オブ・ウォー

マクナマラ元米国防長官の告白

 東京大空襲や、ベトナム戦争など、アメリカの戦争を左右する立場にいたロバート・マクナマラの生々しい証言を綴るこの作品は、歴史好きにも、歴史に興味のない人にも、必見の作品。マクナマラの言う「戦争の霧」とは?

 大きな歴史の転換点を迎えている日本の若者たちには歴史、特に現代史の知識をきちんと思ったうえで大切な「今」をいき、そして「未来」を選択してもらいたいと思う。二十歳を越えている君、投票には行ったろうな?

【第2号 2004年07月07日】

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コールド マウンテン

   戦いや流血に関する報道がテレビや新聞を賑わせている今だからこそ、ぜひ観ておいてほしい作品。そして歴史を見つめる目を養うためにもきっと役に立つ作品。それが「コールド マウンテン」だ。

 アメリカ南北戦争が背景。愛する女性エイダ(ニコール・キッドマン)の待つ故郷コールドマウンテンに戻るために脱走兵となり、苦難の旅を続けるインマン(ジュード・ロウ)。インマンの生存を信じて待ち続けるエイダは、お嬢様育ちのため、内戦で荒れ果てた畑を耕すすべを知らない。 そんなエイダのもとに現れたのが、粗野な外見と行動の下に優しさを隠した娘ルビー(レニー・ゼルウェガー)。生い立ちも性格も正反対のエイダとルビーは、確かな友情を育みながらたくましく生き抜いていく。ついに訪れるインマンとエイダの再会の日。だが、戦争のもたらす悲劇は終わっていなかった・・・。

 「過去」を知ろうとしないものは、決して真の「今」を理解することは出来ない。波瀾万丈の一大ラブ・ストーリー「コールドマウンテン」を楽しみながら、歴史にもちょっと興味を持ってみよう。新しい「今」が、きっと見えてくるはずだから。

【創刊号 2004年04月07日】

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