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岸惠子さんが講演会

開学3周年記念で

 静岡英和学院が4年制の男女共学になって、今年で三年目。開学三周年を記念する特別講演会が、女優でエッセイスト、作家としても活躍中の岸惠子さんを講師に迎え、七月十六日に静岡市民文化会館大ホールで開かれた。演題は「世代を超えて伝えたいもの―『君の名は』からイラク戦争まで―」。ユーモアあふれる美しい日本語の名調子で、学生を含む二千人を超す聴衆に深い感銘を与えた。

 岸さんの発言要旨は以下の通りです。

 今までに会った最もすばらしい男性は、「国境なき医師団」を創設したフランスの医師、ベルナール・クシュネールさんです。彼は『殺され方に良いも悪いもない。人命を救うためなら石を取れ。石を投げずに薬を投げよ』と言った。私たち日本人はそうしたことにあまりにも無関心です。彼は『日本はお金を出すだけでなく、人命を救う援助をしてほしい』とも言っています。

 学生さんには日本語のすばらしさ、言葉のすばらしさを思い出してほしい。その言葉をフルに使って語り、本を読んでほしいと思います。本も読まない、映画も見ない、音楽も聞かないという人ばかり集まる国では、文化が衰えてしまう。新聞を読み、世界に目を開いてほしいと思います。視線を上げ、足元も見ながら、進んでいくと良いのではないでしょうか。

 環境問題も大事です。以前、クストーというフランスの海洋学者が、このまま行けば60年後には世界中が水浸しになってしまう、と語っていました。このごろ、BSE(狂牛病)や鳥インフルエンザやコイヘルペスや新潟の洪水などが起こるのを見ていると、ノアの洪水の時のように、天が人間の進歩に待ったをかけようとしているように思えたりもします。もう少し謙虚になって、科学の進歩の足を緩めてもいいのではないでしょうか。    

 (持田浩隆)

【第3号 2004年12月016日】

 

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