「反対」でも空港利用したい
賛成の理由は便利だから
質問と回答
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学生 1254名中
有効回答数 853名
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<調査方法> 大学・短大の学生全員を対象に、11月中旬〜12月初句にかけてアンケート調査を行った。回答率は68%。
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問1 あなたは、静岡空港の建設を知っていますか?
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はい 98% いいえ 2%
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問2 あなたは、静岡空港の建設に賛成ですか、反対ですか?(記述回答)
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賛成 36% 反対 64%
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問3 問2で賛成と答えた人。なぜ賛成ですか?(記述回答)
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交通、時間の面で便利だから(58%)
静岡の活性化につながるから(13%)
他県の空港に行かなくてすむ(12%)
今更反対しても税金の無駄(7%)
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問4 問2で反対と答えた人。なぜ反対ですか?
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必要がないから(24%)
騒音問題(17%)
既に近県に空港があるので必要ない(16%)
経営面への不安(15%)
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問5 静岡空港に関する問題点で一番関心のあるものは?
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経営の赤字 24%
県の財政の悪化 13%
環境破壊 26%
安全性(事故) 6%
騒音 17%
反対地権者からの用地買収 10%
特になし 3%
その他 1%
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問6 あなたは、静岡空港ができたら利用したいですか?
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利用する 54% 利用しない 46%
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問7 問6で利用すると答えた人。あなたは静岡空港を利用して、どこへ行きたいですか?その他行ってみたい所はどこですか?(複数回答可)
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<国内・国際>
那覇(20%) グアム、新千歳(12%) 上海(8%) ソウル、シンガポール、サイパン(7%) 北京(6%) ホノルル(5%) 長崎(4%) 福岡、鹿児島(3%)バンコク、台北(2%) 松山、熊本、小松(1%)
◇その他行ってみたい所
北海道、広島、京都、オーストラリア、ヨーロッパ、ハワイ、アメリカ、イギリス など
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全体の約60%まで工事が進んでいる静岡空港。県が反対地権者の土地強制収用に踏み出した現時点で、本学生の空港建設に関する関心度を計るために、アンケート調査を行った。
まず、「空港建設を知っているか」の質問には98%の人が「知っている」と答えた。空港建設に対しては、「賛成」の36%に対し、「反対」が64%と2倍近くも多かった。空港建設が最終段階に入ったこの時点でもなお、この数字が出たのは驚きだ。反対の理由では、24%の「必要ない」が最も多く、「騒音問題」、「既に近県に空港があるので必要ない」、「経営面への不安」と続く。賛成の理由としては、「近くに空港があると便利」(58%)が断然トップを占め、「交通の便が良くなり静岡の活性化につながる」、「他県の空港に行かなくて済む」の順。中には「今さら反対しても無駄だから」という回答もあり、既に工事がかなり進展して、賛成せざるを得ないような段階に置かれていることを示していよう。賛成、反対の両方で明確な理由がみられ、学生自身が空港問題を地域の重要問題として捉えていることが分かった。これは、一人の回答の欄に、複数の意見があって仕分けに困ったことからも明らかである。
空港問題で関心があるものとしては、「環境破壊」が26%、「経営の赤字」が24%と続き、現在焦点となっている「反対地権者からの用地買収」への関心は10%にとどまった。空港ができたら、「利用するか」という質問では、「利用する」という人が過半数を上回っている。また、空港建設に反対している人の中でも、「利用する」と回答した人がかなりの数に上った。空港が完成したらしたで、だれでも利用したいのが自然な感情であろう。空港ができたら、どこに行きたいかでは、国内線で那覇(20%)、国際線ではグアム(12%)がそれぞれの上位を占めた。しかし、静岡空港を利用する航空会社の数や、具体的な就航先が決まるのは開港一年前になる。
こうしたことから、静岡空港建設への学生の認知度は予想以上に高く、しかも一人ひとりがしっかりとした意見を持っていることが明らかになった。しかし、県が熱心にPRしているという「環境保護」対策よりは、その逆の「環境破壊」に最も関心を寄せていた。学生が空港に対する関心を持つ一方で、県の空港建設の現状説明やPR活動が、いま一つ正確に伝わっていないということか。
(石田恵理)
【第2号 2004年07月07日】
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