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現地ルポ

350人が空港予定地で反対集会

「強制収用したとしても終わりではない」

 「許すな土地収用 つぶせ静岡空港」――壇上の横断幕には、参加者の決意が記されていた。11月28日、静岡空港予定地内の島田展望台は空港反対派約350人で埋め尽くされた。県内各地からだけではなく、大阪からも応援が駆けつけての大集会となった。うららかな小春日和に吹く風に、「静岡空港の建設中止」と書かれた旗がはためいている。そんな穏やかな気候とは対照的に、空港反対の黄色い鉢巻を頭に締めた参加者たちは、厳しい表情で壇上の演説者を見つめていた。

 静岡県が事業認定申請を表明後、県と地権者の溝はさらに深まった。県庁知事室前での座り込みでは、姿を現さない知事に憤慨(ふんがい)。島田市民会館で行われた事業説明会では、反対派のほとんどがボイコット。そしてこの日の現地集会である。

 衆院国土交通委員の金田誠一議員(民主)は「国交省が県と地権者の間に入り、意見交換の場を設けることを目指せ」と提案。その上で、「強制収用はあってはならない」と県の姿勢を批判した。また松谷清県議は「戦いの成果が開港を二年延ばした」と力説。会場からは拍手と歓声が沸き起こった。その後も反対派の代表が次々と、空港建設中止と土地収用阻止を訴えた。誠意のない県の対応は絶対に許さない――そんな熱い思いがこちらにも伝わってくる演説であった。日が西に傾いた頃に集会は終わり、その後デモ行進が行われた。

 地権者の村田利弘さんは「地元住民への説明など、公共事業の際に必要な基本的なことがなされていない」。用地買収には「同意できるはずがない」と改めて強く主張した。同じく地権者の大井寿生さんは「強制収用したとしても、それで終わりではない」と決意を述べた。また学生に対しても「将来の空港の負担は、今の若い人たちが負うことになる」と険しい表情で訴えた。   

(鈴木淳博)

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