原氏コメント
どうする憲法第九条
草の根レベルの議論を
憲法改正論議が高まっている現在。その中でも戦争放棄を掲げた第九条が、最大の争点となっている。この問題を我々はどのように考えていけばいいのだろうか。ジャーナリスト歴50年以上の原寿雄氏(元共同通信編集局長・主幹)に話を聞いた。
「戦力放棄」は日本国憲法の最大の特色。世界憲法の先駆けとなるものだ。それを簡単に変えることは、日本が歩んできた戦後60年の否定につながる。
改憲論者たちは「日本を普通の国≠ノするため」と言うが、明らかに戦力を持つこと、自衛隊を軍隊として認めることを狙いとしている。具体的には北朝鮮との関係があり、その中で自衛隊は役に立たず、アメリカに頼りっぱなしという状況が、改憲ムードを作り上げている。
しかしそのムードの高まりも、今年になって少し停滞している。NHKの世論調査によると、九条改正賛成・反対ともに39%という結果が出ている。しかし賛成と答えた人の内、4%は「もっと厳しく戦争放棄を謳うべし」という意見での改正賛成だ。これを護憲に含めると反対43%対賛成35%となり、反対意見の方が優勢であると見ることができる。
現在の日本国民は「憲法を読んだこともない」という人が大多数だ。従来の改憲問題は政治家が議論してきたもので、国民全体での議論はまだ始まったばかりといえる。今後は、みんなで憲法を見直す、草の根レベルでの勉強会が必要になってくるのではないか。
憲法第九条
第2章戦争の放棄
【戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認】
全体の解釈としては、主に4つの説がある。1.自衛権を含め一切の戦争行為及び戦力を否認。2.自衛権は否認していないが戦争行為は否定しており、そのための戦力も認められない。3.自衛の範囲内ならば戦争も戦力も認められる。4.個別的自衛権は認めるが、集団的自衛権は認めない。
政府の解釈は、憲法制定当初、憲法は一切の軍備を禁止し、自衛戦争をも放棄したものとしていた。しかし、朝鮮戦争にともなう日本再軍備とともに、憲法で禁止されたのは侵略戦争で自衛戦争ではないとの立場をとるようになった。また、自衛隊は必要最小限度の「実力」であって、憲法で禁止された「戦力」にはあたらないとした。
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